科学的根拠に基づく最高の勉強法

安川 康介 著書

この本は効果の高い勉強方法を教えてくれる本になります。私たちにとって何かを学ぶことは自分の人生を切り開く上でとても重要です。実際に学生の時に勉強で結果を出せば、希望の大学や会社に入りやすいし大人になってからも英語やお金、副業、AIについて学ぶことで自分の可能性を広げていくことができる。

逆に学ばない人は、いける大学や、つける仕事も限られるし、自分の視野や可能性が狭まってしまうことが多い。2021年に4489人を対象にアメリカで行われたアンケート調査では「人生で最も後悔していること」に教育やキャリアの選択が上位にランクインしているのです。

過去に戻って勉強し直しても結果は対して変わらないと考えている人も多いかもしれません、しかしそれは頭が悪いのではなく、勉強の仕方が悪いのかもしれません。

近年多くの研究、調査、論文によって効果の高い勉強法がわかってきています。なので勉強が苦手な方でもその方法を使えばもっと学習能力を上げることができるかもしれません。

そこでアメリアの医師国家試験をトップ1%の成績で合格した著者から効果の高い勉強法を教えてもらおう、というわけなのです。

効果が高くない勉強法

  1. 繰り返し読むこと
  2. ノートに書き写すこと
  3. ハイライトや下線を引くこと

これらが効果の低い勉強法です。ほとんど多くの学生がやっているような勉強方法ですよね。実際にさまざまな学習方法の効果について膨大な過去の研究を調べたダンロスキー教授らの報告書でも「この3つの学習効果は薄い」と結論づけています

効果が高い勉強方法

学んだことを思い出したり、アウトプットする

このことをアクティブリコールと呼びます。アクティブが積極的なという意味で、リコールが思い出すという意味になります。つまり積極的に思い出すことが最高の勉強法ということになります。

実際に80人の大学生に「1回だけ勉強したグループ」と「繰り返し勉強したグループ」、「勉強したことを使いするグループ」、「勉強したことを何も見ずに思い出してパソコンに打ち込むグループ」の4つに分けて1週間後にテストを受けてもらいました。その結果、テストの点数が最も高かったのは勉強したことを何も見ずにパソコンに打ち込むグループが圧倒的に高かったのです。

ちなみに膨大な過去の研究を調べたダンロスキー教授らの報告書でもアクティブリコールの有用性は高いと評価されています

私たちの脳は学んだことをアウトプットしようとした時に脳に大きな負荷がかかる。この負荷によって私たちの脳は記憶することができるのです。

そのためできるだけ学んだことを何も見ずにアウトプットしようとしたり、他人に説明しようとすることが一番効果の高い勉強法だということになります。「覚える」と「思い出す」という2つの行動を繰り返すことです。

時間を空けて復習する。

このことを「分散学習」と呼びます。なぜ時間を空けて復習するおかというと人間の脳は時間が経過するにつれて学習したことを忘れていくようにできています。

実際に有名なドイツの心理学者エビングハウスの忘却曲線によると人は今覚えたことも時間が経つごとに忘れていき1ヶ月後には覚えたことの80%を忘れてしまうことがわかっています。

定期的に時間を空けて復習することで記憶の定着を強化することができるのです。同じ時間を勉強するにしても、例えば今日1時間勉強したことを1週間後に1時間勉強するといった具合に感覚をあけて勉強する方が効果が高いと言えます。

長期的に物事を覚えたいのなら一夜漬けではなく、何回かに分けて学習した方が効果的というわけです。実際、膨大な過去の研究を調べたダンロスキーの報告書でも「ぶっ通しではなく、時間を空けて勉強する方が有用性が高い」と結論づけています。

定期的とはどれくらいの期間出るかについては、それほど詳しくわかっていないのですが、それほど深くは考えずに1日後、3日後、1週間後という具合に時間を空けて定期的に復習することが学習効果を高めることにつながります。

  1. アクティブリコール 勉強したことを何も見ないで記憶から引き出す方法。
  2. 分散学習 ぶっ通しではなく、時間を空けて勉強する方法。

ここまでの内容を一旦まとめると、積極的に思い出すアクティブリコールと定期的に学習する分散学習の2つになります。この2つのことは覚えておいてください。

アクティブリコールと分散学習の2つを組み合わせて勉強する。

最高の学習方法とはアクティブリコールと分散学習を組み合わせる方法になります。この2つを組み合わせた勉強方法を連続的再学習と呼びます。

例えば英単語を20単語覚えたいとします。まず初めに英単語を20個を見て発音したり、書き出したり日本語の意味を調べつつ、声に出してみます。ここまではいつも通りの勉強方法です。

次に何も見ずに英単語のスペルと意味を思い出せるだけぶつぶつと言いながら白い紙に書き出していきます。この時もし忘れてしまっった英単語があればもう一度チェックしてスペルと意味を確認してみます。

このような勉強を3回ほど繰り返します。さらに間隔をあけて1日後、3日後、1週間後に同じ作業を何回も何回も繰り返すだけになります。これが連続的再学習です。

実際に心理学を学習している大学生に対して、連続的再学習をするグループと通常の勉強をするグループに分けて試験を行ったところ、連続的再学習をおこなっている人たちの方がより長く記憶に定着しており、テストの結果も良かったとの報告もあります。

勉強した内容に関して自分で自分に質問する。

勉強したい内容に関して自分自身で質問することを精緻的質問と呼びます。平たく言うと、勉強した内容に関して「なぜそうなっているのか?」、「なぜそれが大事なのか?」、「例えば?」自分自身に質問して、自分で答える勉強法になります。

  1. アクティブリコール 勉強したことを何も見ないで記憶から引き出す方法。
  2. 分散学習 ぶっ通しではなく、時間を空けて勉強する方法。
  3. 精緻的学習 勉強した内容に関して「なぜ」「どのように」と自分に問いかける。

勉強したことに対する問いかけを持つことで勉強対象への注意・集中力が高まり、知識が増えてより、その物事への解像度や理解力が深まるというイメージになります。

実際にダンロスキー教授の報告では「自分で質問して答えることは中くらいの学習効果がある」と結論づけています。中くらいというのはアクティブリコールと分散学習の効果の方が高いので、こちらを優先して勉強して精緻的学習に関してはプラスαでやるくらいに考えておいてください。

きついけど何度も粘り強くやる。

ここからは今まで説明してきた勉強法をやる上での心構えに関して説明していきます。今まで説明してきたように学んだことを思い出すアクティブリコールは学習効果が高い勉強方法ですが、脳への負担は大きいのです。なので疲れやすいし、何より自分がいかに内容を理解していないかよくわかるために結構落ち込みやすい勉強法です。

例えば本を読み終えた後で本を閉じて、何を学んだかを自分の言葉で話しながら思い出そうとしてしてみてください。大体の人は、しどろもどろになり全然内容が出てこなくなったり、自分が理解してる気になっているだけで実は何も理解していないということに気付かされます

しかも、思い出す行為は脳にかなり負荷がかかりやすく疲れやすいのです。そのため楽だけど効果の薄い勉強法についつい逃げがちになってしまうのです。

そこでぐっと耐えて頑張って覚えたことを何もいないで思い出す作業を怠らないことが大事だとこの本に書かれています。

通勤通学や散歩時間などをうまく活用して、学んだことを定期的に思い出す作業を自分の生活の中に組み込んで習慣化させてしまうのが良いでしょう。

できるだけ自分に関係がありそうな内容を学ぶ

これは、人間は自分に関係のないことよりも自分に関係のあることの方が興味を持てるからです。実際に英語が喋れなくても外国に行けば自然と英語を覚えやすくなるのは実生活に英語が関係しているし、すぐに役立つし、必要だからということになります。

一方で自分に関係なさそうなことに関しては、なかなかモチベーションも上がらないし、記憶も良くなりません。

著者の場合は医学という他者の役に立つことが、わかりやすい学問に出会ったことで、勉強のモチベーションにつながり医学部を目指した理由だといいます。

モチベーションが上がらない場合はそもそもなぜ自分はそれを学ぶべきなのかという問いに明確な答えを出して自分とその学問の関係性を考える必要性があります。

小さな目標を立てて成功体験を積み重ねる

小さな成功体験を積み重ねることで「俺ならできる」といった前向きなメンタルになってモチベーションが上がるからです。

実際に小学生40人に対して小さな目標を立てたグループ、大きな目標を立てたグループできるだけ頑張ってもらったグループ、特に何も言われなかったグループに分けてテストの点数を比較したところ、小さな目標を立てたグループが最も高い点数を叩き出していたのです。

自分の進歩がわかりやすいように自分の勉強の進捗状況や点数などを日記などに記録しておくのも良いと書かれています。

何をどのくらい勉強するのかを自分で決める(内発的動機)

人は基本的に何をするのかを自分で決めたいし、誰かに強要されると反発する生き物なのです。実際に自分が好きで1日4時間やってるゲームも誰かに強要されると嫌になりやすいのです。自分が誰かの指示通りに動いてしまうと自分が他人にコントロールされているように感じるからなのです。

そのため勉強するなら自発的に自分で決めて勉強することが大事になります。

ここでは何をどのくらい勉強するのかを自分で決めるということを覚えておいてください。

勉強のモチベーションを上げる方法をまとめると

  1. できるだけ自分に関係のありそうなことを学ぶ
  2. 小さな目標を立てて成功体験を積み重ねる
  3. 自分で勉強する内容は自分で決める

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